Microsoft 365バックアップ製品 徹底比較|SysCloud vs Veeam Data Cloud vs AvePoint Cloud Backup

Microsoft 365が業務基盤として完全に定着した一方で、「M365のデータは自動でバックアップされている」という誤解を持つ企業が依然として少なくありません。
実際には、M365が保証しているのは「サービスインフラの可用性」だけであり、ユーザーデータの長期保護はユーザー側の責任です。退職者アカウント削除でメールが消失したり、ランサムウェアでOneDrive上のファイルが同期で破損したり、誤操作でSharePointの大量ファイルを失ったりといった事故は、標準機能では取り戻せません。
本記事では、M365バックアップ製品の代表格「SysCloud」「Veeam Data Cloud for Microsoft 365」「AvePoint Cloud Backup」の3製品を、対応サービス・機能・料金・運用性で徹底比較し、自社に最適な製品を選ぶための判断基準を解説します。
なぜM365に追加バックアップが必要なのか

Microsoftの公式ドキュメントでも明記されている通り、M365が責任を負うのは「物理インフラ・サービス継続性・短期間の障害復旧」であり、ユーザーデータの保護・長期保管は「ユーザー責任モデル(Shared Responsibility Model)」となっています。
標準機能で救えない3つの典型的シーン
- ① 退職者アカウントの削除:アカウント削除と同時にExchange/OneDrive上のメール・ファイル・チャットがすべて消失(最大30〜90日のごみ箱期間後は完全削除)
- ② ランサムウェア感染による同期破損:エンドポイントで暗号化されたファイルがOneDrive・SharePointへ同期され、クラウド上のファイルも上書きされてしまう
- ③ 誤削除・誤上書き:標準のごみ箱保持期間(30〜93日)を過ぎた削除データ、誤って一括削除したメール・チャット履歴は復旧不可能
特に「退職者対応」と「ランサム被害」は、業務継続・コンプライアンスの観点でも影響が大きく、専用バックアップ製品の導入が現実的な解となります。
3製品の概要
ここからは、M365バックアップ製品として国内でも導入実績の多い3製品の特徴を整理します。
SysCloud|複数SaaSをカバーするマルチクラウドバックアップ
SysCloudは、Microsoft 365を含む5つの主要SaaSサービスを横断的に保護できるマルチプラットフォーム対応のSaaSバックアップ製品です。
- 対応SaaS:Microsoft 365 / Google Workspace / Salesforce / Box / Slack
- 料金:M365/GW/Boxは年5,890円/ユーザー、Salesforceは年4,495円/ユーザー、容量プランは1TB年140,000円
- 容量:75GB/ユーザー(100ユーザー以上は無制限)
- 保持期間:無制限
- 特徴:1ユーザーから契約可能、AIランサム検知、最短30分で開始・約5分で初期設定完了
M365に加えてGoogle Workspace・Salesforce・Box・Slackなど複数SaaSを併用する企業に最適です。
Veeam Data Cloud for Microsoft 365|M365専用×検索性とイミュータブル
世界的にバックアップ製品で実績の高いVeeam社が提供する、Microsoft 365に特化したフルマネージドBaaS(Backup as a Service)です。
- 対応サービス:Exchange Online / SharePoint Online / OneDrive for Business / Microsoft Teams
- 料金:Foundation/Flex 50ユーザー以下 年10,913円/ユーザー、51〜250ユーザー 年9,822円/ユーザー、Premium 51〜250ユーザー 年21,587円/ユーザー(税抜)
- 容量:無制限(定額ユーザー課金)
- 保持期間:契約期間中は永年
- 特徴:50種類以上のフィルタによる高度な検索性、ユーザーセルフサービス復元、256ビット暗号化、イミュータブル(改ざん不能)技術によるランサムウェア対策、15分でセットアップ
M365を業務基盤として本格運用しており、検索性・改ざん耐性・大規模運用を重視する企業に向きます。
AvePoint Cloud Backup|価格と日本語サポートのバランス
AvePoint社はMicrosoft関連製品で長年の実績を持つ専業ベンダーで、柔軟な料金プランと24時間365日日本語サポートが大きな強みです。
- 対応サービス:Microsoft 365 / Google Workspace
- 料金:M365 3年保持プラン 年3,840円/ユーザー、M365 無制限保持 年7,680円/ユーザー、M365 + EntraIDログ付き 年9,600円/ユーザー、Google Workspace 年6,000円/ユーザー
- 最低契約:M365は10ユーザー〜、Google Workspaceは50ユーザー〜
- 容量:無制限
- 保持期間:3年または無制限(プラン選択可)
- 特徴:AIランサム検知、ピンポイント復旧、ユーザー自身でのセルフ復元、24時間365日の日本語サポート
コストを抑えつつ国内サポートの安心感を求める企業、EntraIDの監査ログまで含めて保管したい企業に向きます。
機能・対応サービス徹底比較表

3製品の主要項目を一覧で比較します。
| 項目 | SysCloud | Veeam Data Cloud | AvePoint Cloud Backup |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | 完全SaaS型 | フルマネージドBaaS | 完全SaaS型 |
| 対応SaaS | M365/GW/Salesforce/Box/Slack | Microsoft 365 のみ | Microsoft 365/Google Workspace |
| M365保護対象 | Exchange/OneDrive/SharePoint/Teams 等 | Exchange/SharePoint/OneDrive/Teams/EntraIDログ(プラン選択) | Exchange/OneDrive/SharePoint/Teams/EntraIDログ(プラン選択) |
| 料金(M365) | 年5,890円/ユーザー | 年9,822〜10,913円/ユーザー(規模で変動) | 3年7,680円〜年3,840円/ユーザー〜 |
| 最低契約 | 1ユーザー〜 | 規模別プラン | M365は10ユーザー〜/GWは50ユーザー〜 |
| 保持期間 | 無制限 | 契約期間中永年 | 3年または無制限(プラン選択) |
| 容量 | 75GB/ユーザー(100以上は無制限) | 無制限(定額ユーザー課金) | 無制限 |
| ランサム対策 | AI異常検知+ピンポイント復旧 | イミュータブル+256bit暗号化 | AI異常検知+ピンポイント復旧 |
| 検索性 | 標準的 | 50種類以上のフィルタで高度 | 標準的 |
| セルフ復元 | 対応 | 対応(ユーザー操作) | 対応(ユーザー操作) |
| サポート体制 | 日本語対応 | グローバルサポート | 24時間365日 日本語サポート |
| 初期設定 | 最短30分/約5分で完了 | 15分でセットアップ | 最短30分 |
| 主要ターゲット | 小規模〜中堅/複数SaaS利用企業 | 中堅〜大企業/M365中心 | 小〜中堅/コスト・サポート重視 |
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料金比較で見る勝ちパターン
純粋に料金を比較すると、用途によって最適解が変わります。
- M365のみ・3年保持で十分:AvePoint「M365 3年プラン」が年3,840円/ユーザーで最安
- M365のみ・無制限保持:SysCloud(年5,890円)が最安、AvePoint無制限プラン(年7,680円)と続く
- EntraIDの監査ログまで保管:AvePoint「EntraIDログ付きプラン」(年9,600円)が唯一の選択肢
- 大規模M365+イミュータブル要件:Veeam Foundation/Flex(51〜250ユーザーで年9,822円)
- Salesforce・Box・Slackも保護したい:SysCloudのみ対応
シーン別おすすめ|自社に合う製品の選び方

ここまでの比較を踏まえ、状況別におすすめ製品を整理します。
① コストを抑えつつM365を最低限守りたい中小企業
→ AvePoint Cloud Backup(M365 3年プラン)がおすすめです。
年3,840円/ユーザーは3製品中最安で、10ユーザー〜契約可能。「3年遡って復旧できれば実務上は十分」という企業に最適です。日本語サポートも24時間365日と安心感があります。
② Microsoft 365に加えて他SaaSも保護したい企業
→ SysCloudがおすすめです。
M365に加えてGoogle Workspace・Salesforce・Box・Slackをまとめて保護できる唯一の選択肢です。1ユーザーから契約可能で、無制限保持+AIランサム検知も標準搭載されています。
③ M365を業務基盤として大規模運用しており、検索性と改ざん耐性を重視する企業
→ Veeam Data Cloud for Microsoft 365がおすすめです。
50種類以上のフィルタによる検索、イミュータブル(改ざん不能)技術、256ビット暗号化など、エンタープライズ要件に応える機能が揃っています。51ユーザー以上の規模になれば、Foundation/Flexプランの単価メリットも享受できます。
④ 監査・コンプライアンスでEntraIDログまで含めた長期保管が必要な企業
→ AvePoint Cloud Backup(EntraIDログ付きプラン)がおすすめです。
3製品の中で唯一EntraIDの監査ログまで保管対象に含められるプランを提供しており、内部統制・J-SOX・ISMS対応の観点で価値があります。
導入時の確認ポイント
製品選定の前に、自社で必ず確認しておきたい観点を整理します。
① 何を「失えない」のかを定義する
「メールだけ守ればよい」のか、「OneDrive・SharePoint・Teams・退職者データすべて」なのかで、必要なプランや製品が変わります。復旧したい単位(メールアカウント/ファイル/チャネル/レコード)を業務観点で洗い出すことが第一歩です。
② 必要な保持期間を決める
「3年で十分」「業界規制で7年必要」「法人税法で10年」など、業界・契約・法令によって必要保持期間は異なります。短期で良いならAvePointの3年プラン、長期ならいずれの製品も無制限プランで対応可能です。
③ 復旧テストの実施
バックアップ製品を選ぶ最大の目的は「いざという時に戻せること」です。導入後、必ず一度はリアルなシナリオで復旧テストを行い、自社の運用フローと噛み合うかを確認しましょう。3製品とも管理画面からセルフ復旧の手順を試せます。
④ 退職者対応のフロー整備
退職者アカウント削除と同時にデータが消えるのを防ぐため、退職前にバックアップ済みであることを確認するチェックリストを整備します。SysCloud・AvePoint・Veeamのいずれも、退職後一定期間データを保管しておく運用が可能です。
まとめ:「対応SaaSの幅 × 保持期間 × 価格」で選ぶ
Microsoft 365バックアップ製品は、機能の根幹(自動バックアップ・ピンポイント復旧・ランサム検知)はおおむね横並びです。最終的な選定基準は「対応SaaSの幅」「必要な保持期間」「価格」の3軸に集約されます。
- 複数SaaSを横断して守りたいなら → SysCloud
- 大規模M365で検索性・改ざん耐性を重視するなら → Veeam Data Cloud for Microsoft 365
- コスト・日本語サポート・EntraIDログ保管を重視するなら → AvePoint Cloud Backup
M365のデータは「Microsoftが守ってくれる」ものではなく、「ユーザー側が守る」のが大原則です。退職者対応・ランサム被害・誤削除のいずれも、平時の備えがあれば業務継続に致命的な影響は出ません。
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