法人向けメール暗号化ソフトの比較|脱PPAP・誤送信対策の方式と選び方・費用相場【中小企業向け】

メール暗号化ソフトとは、メールの本文や添付ファイルを暗号化し、盗聴や誤送信による情報漏洩を防ぐためのツールです。取引先とのファイルのやり取りが多い中小企業ほど、1通の誤送信が個人情報や機密情報の漏洩につながり、取引先への報告や信用の低下といった大きな損失を招きます。
結論として、いま多くの企業が進めているのは、廃止が広がった「PPAP(パスワード付きZIPの別送)」からの脱却(脱PPAP)と、誤送信対策をあわせて実現することです。
この記事では、メール暗号化の方式の違い、脱PPAPの考え方、法人向け製品の比較、費用相場、そしてデジタル化・AI導入補助金を使ってコストを抑える方法まで、中小企業の視点でわかりやすく解説します。
メール暗号化ソフトとは?なぜ中小企業に必要なのか?
メール暗号化ソフトは、メールの通信経路・本文・添付ファイルのいずれか(または全部)を暗号化し、第三者に中身を読み取られないようにする仕組みです。あわせて、宛先間違いを防ぐ誤送信対策の機能を備えた製品も多くあります。
中小企業にこそ必要な理由は主に3つです。
第一に、メールは今も最大級の情報漏洩の経路であり、宛先の打ち間違いやファイルの添付ミスは誰にでも起こります。
第二に、個人情報を漏らしてしまうと、改正個人情報保護法により取引先や本人・個人情報保護委員会への報告が必要になる場合があります。
第三に、取引先から「暗号化して送ってほしい」「PPAPはやめてほしい」と求められるケースが増え、対応できないと取引に影響しかねないためです。
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PPAP(パスワード付きZIP)はなぜ廃止された?脱PPAPとは?
PPAPとは、PasswordつきZIPファイルを送り、Passwordを別送する、という日本で長く使われてきた慣習の通称です。2020年に内閣府・内閣官房が中央省庁での利用廃止を表明したことをきっかけに、民間企業でも「脱PPAP」の動きが一気に広がりました。
PPAPが問題とされる主な理由は次のとおりです。
① パスワードを同じメール経路で別送するため、盗聴されれば両方見られてしまい暗号化の意味が薄い。
② 暗号化ZIPはウイルスチェックをすり抜けやすく、マルウェアの侵入口になりやすい。
③ 受信者がパスワードを入力して解凍する手間がかかり、業務効率を下げる。
そこで、パスワード別送に代わり、添付ファイルを自動でクラウド保管しURLで受け渡す方式や、本来の暗号化(TLS・S/MIMEなど)へ切り替えるのが「脱PPAP」です。メール暗号化ソフトの多くは、この脱PPAPを自動で実現します。

メール暗号化にはどんな方式がある?
ひとくちにメール暗号化といっても、守る対象と仕組みが異なる複数の方式があります。主な方式を整理しました。
| 方式 | 仕組み | 主な役割 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| TLS(経路暗号化) | 送受信サーバー間の通信を暗号化 | 通信の盗聴を防ぐ | 相手サーバーもTLS対応が必要。添付そのものは別途対策 |
| S/MIME・PGP(内容暗号化) | 電子証明書や鍵で本文・添付を暗号化 | 高い機密性 | 送受信者の双方に証明書・鍵管理が必要で運用負荷が大きい |
| 添付ファイルの自動暗号化 | 送信時にシステムが添付を自動で暗号化 | 添付の保護(PPAPの代替) | パスワードを同じ経路で別送すると脱PPAPにならない |
| URLリンク化・ダウンロード方式 | 添付をクラウドに保管しURLで受け渡し | 脱PPAPの主流 | リンクの誤送信や受信者のダウンロードの手間 |
| 誤送信対策(送信保留・BCC変換等) | 送信を一定時間保留し宛先をチェック | 宛先間違いを防ぐ | 暗号化とは別機能。両方そろうと安心 |
「メール暗号化」と「誤送信対策」は何が違う?
混同されがちですが、この2つは目的が異なります。
メール暗号化は、正しい相手に送ったメールを第三者に盗み見られないようにする対策です。
誤送信対策は、そもそも間違った宛先に送らない・送っても止められるようにする対策で、送信一時保留、宛先や添付の確認ポップアップ、BCCの強制変換、上長承認などがあります。
情報漏洩は「盗聴」よりも「うっかり誤送信」で起きるケースが多いため、中小企業では暗号化と誤送信対策の両方をカバーできる製品を選ぶのが実務的です。
法人向けメール暗号化ソフトの費用相場はいくら?
提供形態によって費用は大きく変わります。中小企業では、導入が早く月額制で始められるクラウド型が主流です。
| 提供形態 | 初期費用 | 月額(1ユーザー) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| クラウド型(ゲートウェイ/API連携) | 無料〜数万円 | 約100〜650円 | 導入が早く中小企業向き。月額制で始めやすい |
| オンプレミス型 | 数十万〜数百万円 | 保守費用 | 独自要件やカスタマイズが多い大企業向け |
| Microsoft 365/Google Workspace標準 | 追加費用なし | ライセンスに同梱 | TLS等の基本のみ。脱PPAPや日本型の誤送信対策は不足しがち |
なお、Microsoft 365やGoogle Workspaceにも基本的な暗号化はありますが、添付の自動リンク化(脱PPAP)や送信保留・上長承認といった日本の商習慣に合わせた誤送信対策は標準では不足しがちです。この不足を補うために、専用のメール暗号化・誤送信対策サービスを追加するのが一般的です。
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おすすめのメール暗号化・誤送信対策ソフトを比較
アーデントが取り扱う、脱PPAP・誤送信対策に強い代表的な3サービスを比較します。既存のメール環境や「運用を変えたくない」という要望に合わせて選べます。
| 項目 | クラウドメールセキュリティ (MAIL GATE Σ/SECURITY SUITE) |
m-FILTER@Cloud | Sophos Email |
|---|---|---|---|
| 提供元・タイプ | アーデント取扱の自社サービス/ゲートウェイ型 | デジタルアーツ/クラウド型ゲートウェイ | Sophos/API連携型 |
| 暗号化の方式 | 添付ファイルの自動暗号化・分離配送 | 添付の自動暗号化(FinalCode@Cloud連携)+送信後の削除 | TLS・S/MIME・PDF/Office添付の暗号化 |
| 脱PPAP対応 | ◎ 添付を自動でURLリンク化して送信 | ◎ 誤送信対策版+特許のZIP解析 | ○ DLP・暗号化が中心 |
| 日本型の誤送信対策 | ◎ 一時保留・BCC強制変換・上長承認 | ◎ 送信ディレイ・送信キャンセル | ○ ポリシーDLPで機密を検出 |
| 対応環境 | 一般メールサーバー/M365/Google Workspace | 一般/M365/Google Workspace | M365/Google Workspace/Gmail(API連携) |
| 月額目安(税別) | 情報漏洩対策 100円〜(誤送信対策込 200円)※最低50アカウント+初期費用 | 標準 @500円〜/10ユーザー〜 | 年5,796円(50〜99名)=月 約483円〜 |
| 特徴 | 20,000社以上の導入。入口(ウイルス・スパム)対策と組合せ可。24時間365日の自社サポート | 導入実績No.1。ホワイト運用。Web・ファイル対策と統合管理 | 検出率100%(VBSpam 2025 Q2)。MX変更不要で即日導入。XDR連携 |
| 詳細 | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
「メールサーバーはそのまま/運用を変えずに全社で脱PPAP」したい場合は、ゲートウェイ型のクラウドメールセキュリティ(MAIL GATE Σ)やm-FILTER@Cloudが有力です。
Microsoft 365中心でMXレコードを変えずに即日はじめたい場合は、API連携型のSophos Emailが向いています。
▶ 関連記事:クラウドメールセキュリティサービスとは?仕組み・導入方法・対応環境と費用
メール暗号化ソフトの選び方は?5つのポイント
- 方式が自社に合うか:脱PPAPは「URLリンク化」が主流。取引先の環境も踏まえて選ぶ。
- 既存のメール環境に対応するか:Microsoft 365・Google Workspace・一般メールサーバーのどれで使うかを確認。
- 運用(社員の使い方)を変えずに導入できるか:全社に一斉展開できるゲートウェイ型は教育コストが小さい。
- 誤送信対策も含まれるか:暗号化だけでなく、送信保留・宛先確認・上長承認があると漏洩リスクを大きく減らせる。
- サポートと費用(補助金活用):日本語サポートの手厚さと、補助金でコストを抑えられるかを確認する。
導入費用は補助金で抑えられる?
メール暗号化・誤送信対策ソフトは、デジタル化・AI導入補助金(旧・IT導入補助金)の対象となる場合があります。対象ツールとして登録されたサービスであれば、導入費用の一部が補助され、初期費用や月額の負担を抑えられます。
ただし、補助率・上限額・対象要件は年度の公募要領によって変わります。申請枠の選び方や要件の確認には最新の公募要領の確認と専門家への相談が必要です。アーデントはデジタル化・AI導入補助金の支援事業者として、対象ツールの選定から申請までをサポートします。
▶ 関連記事:セキュリティ対策の費用は補助金で抑えられる?対象・補助率・申請の流れ
導入時に注意すべきことは?
導入前に、次の点を確認しておくと失敗を防げます。
・受信者側の手間:URLリンク化方式では、相手がダウンロード操作を行う必要がある。
・TLSは相手依存:経路暗号化は相手のサーバーがTLS非対応だと暗号化されない。
・月額が継続費用:クラウド型は月額制のため、人数分のランニングコストがかかる。
・最低契約人数:サービスによっては最低50名などの下限があり、小規模だと割高になることがある。
よくある質問(Q&A)
Q. 受信者側にも専用ソフトは必要ですか?
A. URLリンク化方式なら、受信者はブラウザでリンクを開くだけで、専用ソフトのインストールは基本的に不要です。一方、S/MIMEなどの内容暗号化は受信者側にも証明書が必要になる場合があります。
Q. Microsoft 365やGoogle Workspaceを使っていても導入できますか?
A. はい。API連携型のSophos Emailや、クラウド型のm-FILTER@Cloud・クラウドメールセキュリティは、Microsoft 365やGoogle Workspaceに対応しています。標準機能では不足しがちな脱PPAPや日本型の誤送信対策を追加できます。
Q. PPAP(パスワード付きZIP)は今すぐやめるべきですか?
A. 推奨されます。パスワードを同じ経路で別送するPPAPは暗号化の効果が薄く、ウイルスチェックもすり抜けやすいためです。取引先からの要請も増えているため、URLリンク化などの脱PPAPへの切り替えをおすすめします。
Q. 何名から契約できますか?小規模でも使えますか?
A. サービスによって異なります。m-FILTER@Cloudは10ユーザーから、クラウドメールセキュリティ(MAIL GATE Σ)は最低50アカウントからが目安です。人数が少ない場合は、1人あたりの単価や下限を含めて比較しましょう。
Q. メール暗号化だけでランサムウェアやフィッシングも防げますか?
A. 暗号化・誤送信対策は「情報を漏らさない」ための対策で、ウイルスやフィッシングを防ぐ入口対策とは役割が異なります。多くのサービスは入口対策(アンチウイルス・アンチスパム・サンドボックス)と組み合わせられるので、あわせて導入すると安心です。
▶ 関連記事:法人向けメールセキュリティの選び方|クラウド型・ゲートウェイ型・Microsoft 365標準の違いを比較
まとめ
メール暗号化ソフトは、盗聴や誤送信による情報漏洩から会社と取引先を守る、いまや必須の対策です。
ポイントは、廃止が広がったPPAPから脱却(脱PPAP)し、暗号化と誤送信対策を両輪でそろえること。
中小企業では、導入が早く運用を変えずに全社展開できるクラウド型・ゲートウェイ型が現実的な選択肢です。
既存のメール環境(Microsoft 365/Google Workspace/一般メールサーバー)に合わせて、クラウドメールセキュリティ・m-FILTER@Cloud・Sophos Emailから選ぶとよいでしょう。
費用はデジタル化・AI導入補助金で抑えられる場合があります。
どの方式が自社に合うか迷う場合は、ぜひアーデントにご相談ください。
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