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Trellix(旧McAfee)のサポート終了はいつ?McAfee・Trellix・Skyhighに分かれた経緯と、VirusScan・ePO・SIEM・NSPの後継・移行先一覧【中小企業向け】

Trellix(旧McAfee)のサポート終了と移行先

「見積書にはMcAfeeと書いてあるのに、サポートサイトはTrellixになっている」
「使っているバージョンが、いつまで使えるのか分からない」
このような相談が中小企業から増えています。

結論から申し上げます。
旧McAfeeの法人向け製品は、2022年にTrellix(トレリックス)とSkyhigh Security(スカイハイ セキュリティ)の2つに分割され、個人向けだけがMcAfeeの名前で残りました。
そして製品のバージョンごとにサポート終了日(End of Life)が決められており、VirusScan Enterpriseや旧ePO、旧SIEM、旧NSPなど、すでにサポートが終わっているものが多数あります。

さらに見落とされやすい点が3つあります。
(1)2025年4月7日に、McAfeeブランド表記のソフトウェア製品が一斉にサポート終了しました。
(2)2022年12月30日以降、McAfeeブランドの製品パッケージはダウンロードできません。パソコンを1台入れ替えても、同じ版を入れ直せないということです。
(3)サポートが切れた製品で定義ファイルの更新を受け取り続けると、ライセンス違反として監査の対象になるとメーカーが正式に案内しています。

そして、サポートの延長は「サポート終了日の時点で契約が有効だった会社」しか申し込めません。
切れてから気づいても、延長を買うという選択肢そのものが無くなっています。

この記事では、名前が変わった経緯の年表、旧製品がいまどのブランドのどの製品になったかの対応表、主要製品のサポート終了日の一覧、そして中小企業がどこへ移ればよいかを、費用と補助金まで含めて整理します。

※本記事のサポート終了日は、Trellixが公開している製品ライフサイクル(End-of-Life)情報を2026年9月時点で確認した内容です。日付はメーカー側の判断で変更される場合があります。実際の判断の際は、必ず最新の公表情報と販売代理店への確認を行ってください。

Trellix(トレリックス)とは?McAfeeと何が違う?

Trellixは「トレリックス」と読みます。
かつてのMcAfee(マカフィー)の法人向け事業が、FireEye(ファイア・アイ)の製品事業と統合してできた会社の名前です。

いま「マカフィー」という言葉が指すものは、次の3つに分かれています。
ご自身の会社がどれを使っているかを、まずここで確認してください。

いまのブランド 扱っている領域 旧McAfeeのどの部分か
McAfee(マカフィー) 個人・家庭向けのウイルス対策 個人向け事業がそのまま残った
Trellix(トレリックス) 法人のエンドポイント保護・EDR/XDR・SIEM・IPS・DLPなど 法人向け事業+FireEyeの製品事業
Skyhigh Security(スカイハイ) クラウド・Webの出入口(SWG/CASB/SSE) 法人向けのうちクラウド・Web領域

よくある勘違いが「マカフィーは個人向けの会社だから、法人では使えない」というものです。
正しくは、法人向けは名前がTrellixとSkyhigh Securityに変わっただけで、製品も契約も続いています。
逆に、家電量販店で売っている個人向けのMcAfee製品を業務用パソコンに入れるのは、使用許諾の面でも管理機能の面でも適切ではありません。

▶ 関連記事:Trellix(旧McAfee)とは? 法人向けセキュリティ製品をわかりやすく解説

なぜ製品名が変わったのか?──名称変更の年表

名前が変わった流れを時系列で並べると、いま製品名が食い違っている理由がはっきりします。

時期 何が起きたか 中小企業への影響
2021年3月 McAfeeが法人向け事業を投資会社STGへ売却すると発表(約40億ドル) 契約先の会社が変わる予告
2021年6月 STGがFireEyeの製品事業を買収(約12億ドル) 2社の製品が同じ傘下に入る
2021年10月 売却が完了し、法人向けは「McAfee Enterprise」に 見積書の社名が変わり始める
2022年1月 McAfee EnterpriseとFireEyeが統合し「Trellix」が誕生 サポートサイト・製品名が切り替わる
2022年3月 クラウド/Web領域が「Skyhigh Security」として分離 同じ会社だった製品が別々の窓口に

つまり、製品そのものは無くなっていないのに、会社名・製品名・サポート窓口だけが3方向に分かれたのが今の状態です。
社内の資産管理台帳や見積書に「McAfee」と書いたまま何年も更新していない会社では、調べようとしても情報にたどり着けないという事態が起きています。

2025年4月7日に何が起きた?──McAfeeブランド製品の一斉サポート終了

サポート終了日の一覧を見ると、多くの製品が2025年4月7日に集中していることに気づきます。
これは偶然ではありません。

Trellixの正規販売代理店が公開している案内には、「Trellixは2025年4月7日をもって、McAfeeブランドのソフトウェア製品のサポートを終了します。適切な製品バージョンへのアップグレードをお願い致します。」と明記されています。

つまり、製品の中身ではなく「McAfeeブランドの表記が残っているバージョンかどうか」で線が引かれました。
この日付で一斉にサポートが終わった主なものは次のとおりです。

  • ePolicy Orchestrator(ePO)5.10.0 の Update 1〜15 と初期ビルド
  • MVISION Endpoint の旧バージョン群
  • Policy Auditor 6.4.X
  • Application and Change Control 8.2.X・8.3.0〜8.3.5
  • Data Exchange Layer(DXL)Client・Broker の旧バージョン

ここが中小企業にとって、いちばん実用的な確認方法になります。
管理画面やインストーラに「McAfee」のロゴが出ている場合、それだけで「サポートが終わっているバージョン」である可能性が高いということだからです。
言い換えれば、画面のロゴを見るだけで、専門知識なしに危ない状態かどうかを見分けられます。
まずは社内の管理コンソールを開いて、ロゴがMcAfeeのままかTrellixに変わっているかを確認してみてください。

昔のMcAfee製品は、いまどの名前になった?

社内で使っている製品名が古いままだと、サポート終了の案内も届きません。
代表的な旧製品の行き先を整理します。

旧McAfeeでの名前 いまのブランド 現在の名前・位置づけ
VirusScan Enterprise(VSE) Trellix Trellix Endpoint Security(ENS)に置き換え済み
ePolicy Orchestrator(ePO) Trellix Trellix ePO(管理コンソール)
MVISION Endpoint / MVISION ePO Trellix Trellix Endpoint Security・Trellix ePO に統合
McAfee SIEM(ESM/ELM/ERC) Trellix Trellix Enterprise Security Manager ほかSIEM製品群
Network Security Platform(NSP) Trellix Trellix Intrusion Prevention System(IPS)
McAfee DLP Trellix Trellix Data Loss Prevention
Web Gateway / MVISION Cloud(CASB) Skyhigh Security Skyhigh Secure Web Gateway / Skyhigh CASB
個人向けウイルス対策 McAfee マカフィーの家庭向け製品として継続

検索するときのコツは、「旧製品名」と「現在の製品名」の両方で調べることです。
「McAfee NSP」で探しても最新情報が出てこない場合でも、「Trellix IPS」で探すと公式のサポート情報が見つかります。

サポート終了日はいつ?──主要ソフトウェアの一覧

ここが本記事の中心です。
Trellixは製品のバージョンごとにサポート終了日(End of Life)を公表しています。中小企業で使われることの多いものを抜き出しました。

製品 対象バージョン サポート終了日
VirusScan Enterprise 8.8 2021年12月31日(終了済み)
VirusScan Enterprise for Linux 2.0.3 / 1.9.2 2021年12月30日(終了済み)
VirusScan for Mac 9.8.0 ほか 2021年12月30日(終了済み)
Endpoint Security for Windows(ENS) 10.6.1 / 10.6 2023年12月30日(終了済み)
Web Gateway 11.2.x 系 2024年12月30日(終了済み)
SIEM Enterprise Security Manager(ESM) 11.5.X 2025年3月31日(終了済み)
SIEM Event Receiver / Enterprise Log Manager 11.5 2025年3月31日(終了済み)
ePolicy Orchestrator(ePO) 5.10.0 Update 1〜15 ほか 2025年4月7日(終了済み)
MVISION Endpoint 2202 ほか旧バージョン群 2025年4月7日(終了済み)
Intrusion Prevention System(旧NSP) 10.1 Minor 10(非Certification) 2025年9月2日(終了済み)
Data Loss Prevention Endpoint(Windows) 11.11.X 2026年2月11日(終了済み)
Data Loss Prevention Endpoint(Mac) 11.10.X 2026年2月11日(終了済み)
Advanced Threat Defense 5.2.X 2026年6月30日(終了済み)
Application and Change Control 8.3.6〜8.3.7 2026年12月31日
Endpoint Detection and Response 4.2.0 2027年7月31日

この表で最初に確認していただきたいのはVirusScan Enterprise 8.8です。
長く使われてきた定番のウイルス対策ソフトですが、サポートはすでに2021年12月末で終わっています。
つまり、いま動いていたとしても、4年以上、新しい脆弱性の修正が提供されていない状態ということです。

もうひとつ注意が必要なのは、ePO(管理コンソール)です。
5.10.0のUpdate 1〜15はすでに2025年4月7日でサポートが終了しており、現在サポートされているのはサービスパック適用済みの新しいビルドだけです。
管理コンソールは社内サーバーに置かれていることが多く、「入れたあと一度も更新していない」という会社が少なくありません。

▶ 関連記事:パッチ管理とは? Windows Updateだけでは足りない理由と中小企業の進め方

アプライアンス(機器)はいつまで使える?

ラックに入っている物理的な機器(アプライアンス)にも、別のサポート終了日があります。
とくに2026年11月30日と2026年12月31日は目前です。

機器・モデル 主な用途 サポート終了日
Network Security(NX)10.0
Email Security – Server(EX)10.0
Central Management(CM)10.0 ほか
ネットワーク/メールの脅威検知 2026年11月30日
NS 7150 / NS 7250 / NS 7350 系
ATD 3100
IPS(侵入防御)・サンドボックス 2026年12月31日
NS 5100 / NS 5200 系 IPS(侵入防御) 2026年3月31日(終了済み)
SIEM APM-1270 / ERC-1270 系 SIEM(ログ収集・監視) 2026年1月11日(終了済み)
IA 2100 / PX 2060C 系 ネットワーク監視 2027年3月31日
CM / EX / HX / AX / EM / FX / NW 系(4500〜9500など) 各種アプライアンス 2028年3月31日
NS 3100 / NS 3200 / NS 7500 系 IPS(侵入防御) 2030年2月15日

機器の入れ替えは、見積り・発注・設置工事・通信の切り替えまで含めると、検討開始から稼働まで3か月〜半年かかることが珍しくありません。
2026年11月30日・12月31日に該当する機器をお使いの場合、今日の時点ですでに余裕はありません。
まずは機器の背面や管理画面でモデル名を確認するところから始めてください。

「サポート終了」になると、何が止まる?

「サポート終了」と一言で言っても、止まるものと止まらないものがあります。
Trellixが公開している製品ライフサイクルの考え方では、次のように区別されています。

用語 意味
End of Sale Date(販売終了日) 製品が通常の価格表から外れ、新しく購入できなくなる日
End of Life Date(サポート終了日) 標準のサポート提供条件のもとで、その製品やバージョンがサポートされる最終日
Full Service Software Support 現行製品と同じ内容の保守・技術サポート。この期間中はセキュリティ更新と保守が継続する
Limited Service Hardware Support 限定的な機器保証、深刻度1(業務が止まる重大障害)の修正、コンテンツ更新のみ。
機能の追加・改善やメジャーバージョンアップは含まれない

公表されている考え方を整理すると、次のようになります。

  • 販売終了(End of Sale)の予告は、原則として6か月前に行われる
  • 販売終了後、ソフトウェアのフルサポートは最大1年、アプライアンスに搭載されたソフトウェアは最大3年
  • 機器(ハードウェア)は販売終了後3年がフルサービス、4年目と5年目は限定サポート
  • クラウドサービスは、現行リリースのみがサポート対象(古いバージョンを使い続けるという選択肢がない)
  • 機器の保守契約は、公表されたサポート終了日を越えて延長することはできない

ここで中小企業がとくに注意すべきなのは、「動いているかどうか」と「守られているかどうか」は別物だという点です。
サポートが終了しても、ソフト自体は起動しますし、定義ファイルの更新がしばらく続くこともあります。
しかし新しく見つかった脆弱性の修正プログラムは提供されません。
攻撃者は、公表済みの脆弱性が残ったままの製品を狙います。

▶ 関連記事:脆弱性診断・脆弱性管理サービスの費用相場と選び方

いつ買ったバージョンでも3年?──バージョンの寿命の決まり方

「去年入れたばかりなのに、もうサポート終了と言われた」という相談も受けます。
これはバージョンの寿命の決まり方を知っていると理解できます。

公表されている考え方では、あるバージョン「N」のサポート終了期間は、2つ先のバージョン(N+2)が一般提供された時点から始まります。
そして、ひとつのバージョンのサポート期間は、(a)一般提供の開始から3年(b)N+2のバージョンが一般提供されてから1年の、短いほうが上限になります。

ここから2つのことが分かります。

  1. 購入した日ではなく、そのバージョンが世に出た日から数え始める。3年前に出たバージョンを今年買った場合、残りの寿命は最初から短い。
  2. メーカーが新しいバージョンを出すペースが速いと、寿命はさらに縮む。2つ先が出てから1年で打ち切られるため、3年を待たずに終わることがある。

だからこそ、「うちは何年に買ったか」ではなく「いま入っているバージョンは何番か」で管理する必要があります。
資産管理台帳に製品名しか書いていない会社は、この時点で自社の期限を把握できません。
バージョン番号まで書く運用に変えるだけで、以後の判断が一気に楽になります。

▶ 関連記事:パソコン・スマホを廃棄/リース返却するときのデータ消去は?「初期化しただけ」が危ない理由

サポートを延長して様子を見られる?

Windowsの延長セキュリティ更新(ESU)のように、お金を払って延命できないかと考える方もいらっしゃいます。
結論としては、例外的な延長の枠組みは存在しますが、条件が厳しく、あてにはできません。

公表されている「Custom Software Support(個別契約のソフトウェアサポート)」の条件は次のとおりです。

  • まれなケースであり、メーカーの裁量で提供されるかどうかが決まる
  • 追加費用が発生する
  • サポート終了日の時点で、有効なサポート契約を持っている会社にしか提供されない
  • 対象の技術が、他社製の部品などに依存せず、引き続きサポート可能な状態であること
  • 動作しているプラットフォーム(サーバーやOS)が、その提供元によってサポートされていること

さらに、延長サポートに含まれないものが明示されています。

  • 機能追加の要望(Product Enhancement Request)
  • Hotfixや開発部門による個別対応
  • 新しいOSへの対応
  • 製品の不具合に関するSLA(応答時間などの約束)

この記事で最も重要な一文がここです。
延長を買えるのは「サポート終了日の時点で契約が生きていた会社」だけです。
「気づいたら期限が過ぎていた。お金を払うので延長したい」と申し出ても、その時点で契約が切れていれば、延長という選択肢そのものが存在しません。
また、延長できたとしても新しいOSへの対応は含まれないため、Windows 11の新しいバージョンに更新した途端に動かなくなる、という事態は防げません。

つまり、サポート終了は「期限が来てから考える」ことができない性質の問題です。
期限の1年前には、移行先を決めておく必要があります。

▶ 関連記事:Windows Server 2016のサポート終了は2027年1月12日|法人のESU費用と移行

サポート終了した機器とソフトを棚卸しし、クラウド型の新しい保護へ移行するイメージ

VirusScan Enterpriseをまだ使っていませんか?

中小企業の現場で、いまだに見かけることがあるのがVirusScan Enterprise(VSE)8.8です。
サポートは2021年12月31日で終了しています。

ここで日付の食い違いに注意してください。
Trellixがグローバルで公開しているライフサイクル一覧では、VirusScan Enterprise 8.8のサポート終了は2021年12月31日と表記されています。
一方、日本のお客様向けに出された正式な案内(2021年12月1日付)では、2022年2月28日をもってサポート終了と案内されました。(VirusScan Enterprise for Storageは2022年6月30日、Host Intrusion PreventionとSiteAdvisor Enterpriseも2022年2月28日です。)
いずれにしてもすでに3年以上前に終わっているという結論は変わりませんが、社内資料に記録する際は「どちらの資料に基づく日付か」を併記しておくと、後任の担当者が混乱しません。

この製品は、後継にあたるEndpoint Security(ENS)へ置き換えることが前提になっていました。
ただしそのENSも、10.6系は2023年12月30日でサポートが終わっています。
「後継に入れ替えたから安心」ではなく、その後継のバージョンも更新し続ける必要があるということです。

VSEを使い続けているサーバーやパソコンがある場合、次の3点を確認してください。

  • そのサーバー・パソコンのOS自体がサポート内か(Windows Server 2012やWindows 7が残っていないか)
  • 管理コンソール(ePO)から、いま実際に定義ファイルが配られているか
  • そのパソコンが、社外(インターネットやVPN)に直接つながっていないか

ウイルス対策ソフトのサポート終了は、単体では事故になりません。
しかし「古いOS」「古いウイルス対策」「外からつながる」が重なった端末は、ランサムウェアの入口として最も狙われます。
この3つが揃っている端末があれば、そこが最優先の対応箇所です。

▶ 関連記事:古いパソコンを使い続けるリスクとは? 中小企業が狙われる理由

サポートが切れた製品を使い続けると、どうなる?

「動いているうちは、そのまま使えばいいのでは」と考える方は少なくありません。
しかしVirusScan Enterpriseについては、メーカーが日本のお客様向けに出した正式な案内の中で、かなり踏み込んだ注意が示されています。

「パーペチュアルライセンスには V2 DAT、エンジンコンテンツのアップデートやテクニカルサポートの利用を行う権利は含まれていません。そのため、意図的か意図的ではないかに関わらず、延長サポートをご購入されることなく、2022年3月1日以降に V2 DAT、エンジンコンテンツのアップデートまたはテクニカルサポートをご利用された場合、ライセンスに違反し、Licensing and Compliance チームによる監査の対象となります。」(2021年12月1日付 メーカー案内 文書管理番号 PH211201-01 より。社名表記は一部省略)

読み解くと、こういうことです。

  • ソフト自体は買い切り(パーペチュアル)なので、サポートが終わってもインストールしたまま使い続けること自体はできる
  • ただし定義ファイル(DAT)や検索エンジンの更新を受け取る権利は含まれていない
  • そのため、延長サポートを買わずに更新を受け取り続けるとライセンス違反となり、監査の対象になる

さらに同じ案内では、延長サポートを買わない場合の対応として、次のように求められています。

「延長サポートを購入されないお客様は、コンテンツ更新タスクから V2 DAT とエンジンを事前に無効にする必要があります。」

これが意味するところは深刻です。
「使い続ける」を選んだ場合、定義ファイルの自動更新を自分の手で止めなければならないのです。
つまり、その端末のウイルス対策はサポート終了日時点の状態で完全に凍結されます。
「まだ動いているから大丈夫」ではなく、「動いてはいるが、その日から先の脅威を一切知らないソフト」になる、ということです。

なお、VirusScan EnterpriseとHost Intrusion Preventionには延長サポートが用意されていましたが、提供期間は2022年3月1日から最長でも2023年12月31日までで、こちらもすでに終了しています。
しかも対象は最新の製品バージョン(VirusScan Enterprise 8.8 Patch16/Scan Engine 6200 など)に限定されていました。

同じ版をもう一度インストールできますか?

できません。
ブランド変更にともない、2022年12月30日以降、McAfeeブランドの製品パッケージは製品ダウンロードサイト・サービスポータル・ePOのソフトウェアカタログ・ePO-SaaSリポジトリのいずれからもダウンロードできなくなりました。

代理店の案内では、対象の例としてMcAfee Agent 5.6.x および 5.7.6以前、Endpoint Security 10.7.0 June 2022 Updateが挙げられています。

これは実務でいちばん困る形で表面化します。
パソコンを1台入れ替えたとき、いま社内で動いているのと同じ版をインストールできないのです。
手元にインストーラを保存していない限り、その1台だけ別の製品を入れるか、その場で全社の移行を迫られることになります。
「まだ動いているから」と先送りしてきた会社ほど、パソコンの入れ替えという普通の出来事で行き詰まります。

Windows 10を使い続けている場合はどうなる?

もうひとつ、2025年に起きた重要な変更があります。
MicrosoftのWindows 10サポート終了に合わせて、Trellix製品側でもWindows 10の標準サポートが2025年10月14日に終了しました。

対象として案内されているのは次の製品です。

  • Application and Change Control
  • Endpoint Security
  • Trellix Agent
  • Data Loss Prevention
  • Policy Auditor

この日付以降、Windows 10の環境では、これらの製品について標準の更新プログラム・パッチ・定期的な技術サポートが受けられなくなります。
継続してWindows 10で使う場合は、別途の延長サポートが必要になると案内されています。

ここに二重の落とし穴があります。
Windows 10のESU(延長セキュリティ更新)を買って延命している会社は少なくありません。
しかし、OS側を延命しても、その上で動いているセキュリティ製品のサポートが終わっていれば、守りは補強されません。
ESUを契約している場合は、セキュリティ製品側のWindows 10対応も必ず合わせて確認してください。

▶ 関連記事:Windows 10のESU(延長サポート)1年目が2026年10月13日に終了|法人向けの費用とWindows 11移行

ePO(管理コンソール)はどうなった?

ePolicy Orchestrator(ePO)は、各パソコンのウイルス対策の状態を一括で管理するための画面です。
名前は「Trellix ePO」に変わり、現在も提供されています。

ただし、5.10.0のUpdate 1〜15と初期のビルドは2025年4月7日でサポートが終了しており、現在サポートされているのはサービスパックが適用された新しいビルドだけです。

ePOには、オンプレミス(自社サーバー)版、クラウド版、AWS上で動かす版がありました。
このうちクラウド版は「現行リリースのみサポート」という扱いで、古いバージョンを使い続けるという選択肢がありません。

入れ替えではなく、アップグレードで移れますか?

移れます。
代理店の案内によれば、ePO 5.10.0.2428(GA)から 5.10.0.3947(累積更新15)までのバージョンは、専用のService Pack 1 Updateを使ってePO 5.10 SP1へ直接アップグレードできるとされています。
サーバーを新しく立て直したり、全端末にエージェントを入れ直したりする必要はありません。

ただし、アップグレード前のチェックリストが用意されているとおり、データベースのバックアップや拡張機能の互換性確認は必要です。
管理コンソールは全端末の状態を握っている要の部分ですので、作業前のバックアップだけは必ず取ってから進めてください。

自社サーバーにePOを立てている場合、忘れられがちなのがePOが乗っているサーバーOSとデータベースの期限です。
ePO本体がサポート内でも、その下のWindows ServerやSQL Serverのサポートが切れていれば、結局その管理サーバーごと攻撃の入口になります。
管理コンソールを自社で持ち続けるより、クラウド管理の製品へ移したほうが、中小企業にとっては運用の手間も期限管理も軽くなります。

SIEM(ESM)を使っている場合は?

SIEMは、サーバーやネットワーク機器のログを集めて、攻撃の兆候を見つけるための仕組みです。
旧McAfeeのSIEM製品群(ESM/ELM/ERC/ACE)は、Trellixブランドで継続していますが、11.5系は2025年3月31日、11.4系は2024年12月31日でサポートが終了しています。

また、SIEMを動かしていた専用機器(APM-1270・ERC-1270など)も2026年1月11日でサポートが終了しました。

ここで正直に申し上げます。
SIEMは、もともと専任のセキュリティ担当者がいる大企業向けの仕組みです。
ログを集めるだけでは意味がなく、鳴ったアラートを24時間365日、人が見て判断する体制が必要になります。
情報システム担当者が1〜2名、あるいは総務が兼務している会社が、SIEMを自社で運用し続けるのは現実的ではありません。

サポート終了を機に、次のどちらかへ切り替えるのが中小企業の現実解です。

  • MDR(監視・対応をまとめて外部に任せるサービス)へ移す。ログの保管から、危ない動きの判断、止める作業までを専門家が担当する
  • EDR+SOC監視付きの製品へ移す。端末側で異常を検知し、24時間365日の監視をサービスとして受ける

▶ 関連記事:セキュリティ運用は外部に任せられる? MSS・SOC・MDRの違いと費用相場

▶ 関連記事:セキュリティログの保存期間は何年必要? 法令・ガイドライン別の目安

NSP(Network Security Platform)を使っている場合は?

NSPは、社内ネットワークの通信を監視して攻撃を止める装置(IPS=侵入防御システム)です。
現在の名前はTrellix Intrusion Prevention System(IPS)です。

ソフトウェアでは10.1系の一部が2025年9月2日でサポート終了、機器ではNS 5100/NS 5200系が2026年3月31日、NS 7150/NS 7250/NS 7350系が2026年12月31日でサポートが終了します。

IPSは単体の装置として導入されることが多いのですが、中小企業ではUTM(統合脅威管理)や次世代ファイアウォールに機能がまとまった製品へ移すほうが、費用も運用の手間も抑えられます。

1台の機器の中に、ファイアウォール、IPS、Webフィルタ、サンドボックス、VPNがまとまっているため、複数の装置を別々に管理・更新する必要がなくなります。

移行前(旧McAfee/Trellix) 中小企業での移行先の考え方
NSP/Trellix IPS の専用装置 UTM・次世代ファイアウォールのIPS機能に集約する
Web Gateway(オンプレミス) クラウド型のWebフィルタ・SASEへ移す(社外PCも守れる)
SIEM(ESM)+専用機器 MDR/SOC監視サービスへ置き換える
VirusScan / ENS の古いバージョン クラウド管理のEDR付きエンドポイント製品へ移す

▶ 関連記事:UTM(統合脅威管理)とは? 法人向けおすすめ製品の比較と費用相場

中小企業はどこへ移ればいい?──移行先の選び方

旧McAfee/Trellixの製品からの移行先として、当社が取り扱っている主な製品を横並びで整理します。
「Trellixをやめる」必要はありません。Trellix Protectは中小企業向けの現行製品として継続しています。
まずは、いま使っている古いバージョンから、サポートされている現行製品へ移すことが基本です。

項目 Trellix(旧McAfee)Protect ESET PROTECT SentinelOneデータお守り隊 Sophos Endpoint
向いている会社 いまのTrellixを続けたい会社 動作の軽さを重視する会社 監視まで任せたい会社 EDR/XDRを1人から使いたい会社
月額の目安(税別) Standard 500円/Plus 1,000円 Entry 495円〜(Elite 1,117円) 1台 1,000円〜 年5,004円〜(1ユーザー)
初期費用 要見積り 要見積り 0円 要見積り
1契約で守れる台数 PC5台(Plusはスマホ5台も) 1ライセンス1台 1ユーザー(PC1台) 同時稼働1台
EDR(侵入後の検知・対応) ×(上位製品で対応) Elite以上で対応 標準で対応 上位プランで対応
24時間365日の監視 × × 標準で付帯 MDRプランで対応
サイバー保険 × × 最大50万円 MDR Plusで付帯
管理コンソール ePO(クラウド/オンプレ) クラウド クラウド クラウド(Sophos Central)
詳細 詳細を見る 詳細を見る 詳細を見る 詳細を見る

選び方の基準はシンプルです。
(1)社内にセキュリティを見る人がいるなら、EDR付きの製品を自社で運用する。
(2)見る人がいないなら、24時間365日の監視が付いたサービスを選ぶ。
サポート終了を機に製品を入れ替えるなら、「同じ機能の新しい版」に移すより、「運用の負担が減る形」に移すほうが、結果的に安く済みます。

ネットワーク側(旧NSP/Web Gateway)の受け皿としては、ファイアウォールとIPSがまとまったSophos Firewall、監視・対応まで任せる場合はSophos MDRが選択肢になります。

他社の製品も含めて横並びで比較して選びたい方は、法人向けセキュリティソフト7社一括比較もあわせてご覧ください。

▶ 関連記事:ESET・ウイルスバスター・Sophosを比較|法人向けウイルス対策ソフトの選び方

移行の費用はいくら?

従業員30名・パソコン30台の会社を例に、年間の費用の目安を整理します(すべて税別)。

移行先の形 初年度の目安 2年目以降(年) 向いている会社
Trellix Protect Standard を継続(30ユーザー) 約180,000円 約180,000円 今の運用を変えたくない会社
ESET PROTECT Entry(30ユーザー) 約178,200円 約178,200円 費用を最優先したい会社
SentinelOneデータお守り隊(30台) 約360,000円 約360,000円 監視まで任せたい会社
Sophos Endpoint(30ユーザー) 約150,120円 約150,120円 EDR/XDRを使いたい会社

金額だけを見ると、いまの製品を続けるのが安く見えます。
しかし、比べるべきは「事故が起きたときにかかる費用」です。
ランサムウェアに感染した場合の調査だけでも、300台までで298,000円、詳細な報告書を付けると別途500,000円かかります。
合計798,000円は、上の表のどの選択肢の年間費用も上回ります。
しかも調査費用を払って分かるのは「何が起きたか」であって、止まった業務も、流出した情報も戻ってきません。

なお、機器(UTM・ファイアウォール)を入れ替える場合は、本体費用が別にかかります。
小規模向けのSophos Firewall XGS 107であれば本体124,400円+ライセンス年42,000円〜が目安です。

▶ 関連記事:エンドポイントセキュリティの費用はいくら? EPP・EDR・MDRの料金相場

費用は補助金で抑えられる?

セキュリティ製品の入れ替えには、デジタル化・AI導入補助金が使える場合があります。

補助額 補助率
通常枠 5万円〜450万円 原則1/2(小規模事業者は最大4/5)
セキュリティ対策推進枠 5万円〜150万円 小規模事業者2/3・中小企業1/2(サービス利用料は最大2年分)

申請にあたっては、SECURITY ACTIONの自己宣言IDとGビズIDが事前に必要です。
また交付決定の前に発注してしまうと補助の対象外になります。
サポート終了の期限が迫っていると「先に契約してしまう」という判断をしがちですが、その順番で進めると補助金が使えなくなります。
補助率・対象・締切は年度ごとに変わりますので、必ず最新の公募要領をご確認のうえ、専門家にご相談ください。

▶ 関連記事:セキュリティ対策の費用は補助金で抑えられる? デジタル化・AI導入補助金2026

何から手をつければいい?──7つの手順

最後に、今日から進められる順番に整理します。
1〜5は費用をかけずにできます。

順番 やること 確認する場所 費用の目安
1 旧McAfee/Trellix製品を使っている端末・機器を全部書き出す 資産管理台帳、請求書、ラックの中 0円
2 製品名だけでなくバージョン番号を控える 管理画面(ePO)の端末一覧、機器の管理画面 0円
3 この記事の表と突き合わせ、サポート終了済みのものに印を付ける 本記事の一覧表と公式のライフサイクル情報 0円
4 いまのサポート契約がいつまで有効かを確認する 見積書・注文書・代理店への問い合わせ 0円
5 「終了済み」かつ「社外につながる」端末・機器を最優先に決める 手順1〜3の一覧 0円
6 移行先の製品を決め、試用版で動作を確認する 当社または販売代理店 0円〜
7 補助金の申請準備と並行して、交付決定後に発注する 公募要領・GビズID・SECURITY ACTION 製品費用

手順2の「バージョン番号を控える」が、この作業のすべてです。
製品名だけでは、サポート終了日は分かりません。
逆にバージョン番号さえ分かれば、この記事の表と突き合わせるだけで、自社があと何か月猶予があるのかが今日その場で判明します。

よくある質問(Q&A)

Q. うちはMcAfeeを使っていますが、Trellixに切り替える手続きは必要ですか?

A. 会社名とブランド名が変わっただけですので、利用者側で切り替え手続きをする必要は基本的にありません。
ただし、サポートサイトの窓口やログイン先が変わっているため、困ったときにたどり着けるよう、社内の手順書に現在の窓口を書き直しておくことをおすすめします。

Q. サポートが終了しても、ウイルス定義ファイルは配られますか?

A. 製品とバージョンによって扱いが異なります。
公表されている考え方では、サポート終了後の対応は「電話サポートへの合理的な努力」に限定され、深刻度の高いものについて限定的なコンテンツ更新が提供される場合がある、とされています。
いずれにしても、新しく見つかった脆弱性の修正プログラムは提供されません。
定義ファイルが届いていることは「守られている」証拠にはなりません。

Q. サポート終了日を過ぎてから、お金を払って延長できますか?

A. できない可能性が高いです。
例外的な延長サポートの枠組みはありますが、サポート終了日の時点で有効なサポート契約を持っていることが条件とされています。
契約が切れたあとで申し出ても、対象外になります。期限の前に動くことが前提の仕組みです。

Q. 従業員10名の会社ですが、そこまで急ぐ必要がありますか?

A. 規模は関係ありません。
攻撃者は「価値のある情報を持っている会社」を選んで狙うのではなく、公表済みの脆弱性が残っている機器を機械的に探して侵入します。
むしろ、担当者がいない中小企業のほうが、古いバージョンが放置されやすく狙われやすいのが実情です。

Q. Trellix Protectは販売終了したと聞きましたが、本当ですか?

A. 中小企業向けのTrellix Protectは、StandardとPlusの2プランで現在も提供されています。
「販売終了」と言われるのは、旧McAfee/MVISIONという名称の型番が終売になったことを指している場合がほとんどです。
製品そのものは続いていますので、慌てて他社に乗り換える必要はありません。

Q. 社内にどの製品が入っているのか分かりません。どう調べればよいですか?

A. 調べ方は3つあります。
(1)管理コンソール(ePO)にログインし、端末一覧から製品名とバージョンを確認する。
(2)個々のパソコンの「アプリと機能」(プログラムの追加と削除)で製品名とバージョンを見る。
(3)過去の見積書・注文書に書かれた型番を探す。
(1)が最も早く、社内すべての端末をまとめて把握できます。

Q. IT担当者がいなくても移行できますか?

A. できます。
クラウド管理のエンドポイント製品であれば、社内にサーバーを立てる必要がなく、配布されたURLからインストールするだけで導入が完了する製品もあります。
監視や判断まで任せたい場合は、24時間365日の監視が付いたサービスを選ぶことで、担当者を置かずに運用の形を作ることができます。

Q. 機器(アプライアンス)のサポート終了が近いのですが、何から確認すべきですか?

A. まずモデル名を確認してください。
機器の前面・背面のラベル、または管理画面の「システム情報」に記載されています。
そのうえで本記事のアプライアンス一覧と突き合わせ、2026年11月30日・12月31日に該当するものがあれば、今すぐ見積りの手配を始めてください。
機器の入れ替えは工事や通信の切り替えを伴うため、3か月〜半年かかります。

Q. 何から相談すればよいですか?

A. 「いま使っている製品名とバージョンの一覧」をご用意ください。
分からない場合は、管理コンソールの画面を見せていただくだけでも構いません。
そこから、どれが期限切れで、どこから手をつけるべきか、補助金が使えるかまでを整理してご提案します。

▶ 関連記事:Windows 11のサポート終了はバージョンごとに来る|24H2は2026年10月13日・バージョン別の期限一覧と「管理しているパソコンほど期限切れになる」理由【中小企業向け】

まとめ

旧McAfeeの法人向け製品は、2022年にTrellixとSkyhigh Securityの2つに分割され、個人向けだけがMcAfeeとして残りました。
製品そのものは無くなっていませんが、会社名・製品名・サポート窓口が3方向に分かれたため、自社の期限を調べようとしても情報にたどり着けない、という状況が起きています。
そして実際には、VirusScan Enterprise、旧ePO、旧SIEM、旧NSPなど、すでにサポートが終わっているものが多数あります。

機器についても、2026年11月30日と2026年12月31日にサポート終了を迎えるモデルがあり、入れ替えには3か月〜半年かかることを考えると、すでに余裕はありません。
さらに、延長サポートは「サポート終了日の時点で契約が有効だった会社」しか申し込めず、切れてから気づいても選択肢が残りません。

やるべきことは複雑ではありません。
まず、製品名ではなくバージョン番号を書き出すことです。
それだけで、自社にあと何か月の猶予があるのかが今日その場で分かります。
そのうえで、社外につながる端末・機器から順に、サポートされている現行製品へ移していけば十分です。

移行にあたっては、同じ機能の新しい版に移すよりも、クラウド管理・24時間365日の監視付きなど、運用の負担が減る形に移すほうが、担当者のいない中小企業では結果的に安く済みます。
費用はデジタル化・AI導入補助金で抑えられる場合がありますので、交付決定の前に発注しないようご注意のうえ、早めにご相談ください。

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